工具を改革し続けるWera(ヴェラ)社

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古くからモノづくりが盛んなチェコの製造工場

ガラス細工、自動車、軍用品など、昔からモノづくりが盛んだったチェコ。東西ドイツが統一される前には、東欧諸国でもっとも産業が栄えた地域である。そんなチェコで、1996年6月に製造を開始したのが、Wera社チェコ(ビストリーツェ)工場。その後、1999年、2003年、2012年と増築を重ね、現在では1万7000㎡の敷地で800名もの従業員が働く。

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Wera社が順調に売上を伸ばす中、2020年以降に5000㎡の増築を予定。1年間に2000tものローマテリアルを製品へと変えてしまう、まさに圧巻の製造能力を持つ工場である。

普通でない道を進み工具を改革する者たち

Wera社はドイツで80年以上の歴史を誇る工具メーカー。そこに受け継がれているモノづくりのDNAは、「Bea Tool REBEL(ラテン語のrebellisで「反逆的な」が語源)」である。普通でない道を進み、工具を改革する者を指している。確立された"普通"に満足せず、広く普及する現状に疑問を投げかけることを好む者たち。その精神は、ネジを回す単純な手作業工具に、まさに凝縮されている。例えば、レーザーチップ加工(ドライバーの先端にレーザー加工を施し噛みやすくする)、クラフトフォーム®ハンドル(人体工学に基づくグリップ形状)、ヘックスプラス®(面接触で工具への負担軽減)、ダイヤモンドコーティング(ダイヤモンド粒子がネジに噛みつきなめにくい)など、挙げればキリがない。

 
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独自性の高い製品を生産しているだけに、生産を開始した当初は、製造のための工作機械が市場に存在せず、1967年には工作機械を自社で初めて手掛けた。現在も、加工のために新しく機械が必要となれば、自社のためだけに手掛けることも。ダイヤモンドコーティングや焼き入れ、焼き戻し加工、レーザーチップ加工などWera社のコアとなる技術は何十年もの歳月をかけてようやく完成したもの。そのため、写真撮影が不可であることはもちろん、門外不出の技術として大切に扱われていた。それらの技術を駆使し、斬新な製品の製造に関わるチェコ工場の従業員も、どこか誇らしげ。Wera社オリジナルのワークウェアを身につけ、誰もが真摯にモノづくりに取り組んでいる。チェコの小さな町だけに、聞けば、工場長を含め、従業員たちは同じ会社で働く仲間である前に近所の友人であることが多いのだとか。だからこそ、相手を思いやり、次の工程を思いやることが自然にできるのだろう。全員で良い製品を作り上げようとする雰囲気が感じ取られ、彼らのモノづくりへの姿勢は、一定して高い品質を保つ大きな要因である。

ドイツ工業規格よりもはるかに高い基準をクリア

この工場に併設される品質検査のためのラボでも、決して"普通"で満足はしていない。DIN(ドイツ工業規格)の基準よりはるかに高い独自の基準を設け、抜き打ちで適正な検査を行っているのだ。また、同社のコンビネーションラチェットレンチ「ジョーカー」などのメガネ部にラチェット機能がある製品は100%検品。正しいトルクがかけられるか、ラチェットが正しく機能するかと、検品を重ねていた。

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30°の小刻みなリターンアングルを実現するジョーカーの生産ライン。製品はいずれも特徴的で斬新。

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0°、15°、90°と三段階の角度を変えられ、早回しと本締めが1本で可能なサイクロップラチェット。

製造工程においても、例えばビットには±0.05mmという厳しい公差を設け、その基準を満たしたものだけが製品として市場に出回る。なるほど、フィリップス®、トルクス®、トルクスプラス®など、各ネジメーカーから許可を得て、専用ビットを製造するほどのノウハウを持っている同社ならではと納得である。そんな工場から生まれる至高のツールの数々。一度握ってみればWera社の魂を感じるに違いない。